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 予圧

予圧の目的
モータ等に転がり玉軸受を使用する場合、軸方向に荷重を加えてラジアルすきまを「0」にして使用します。 これはラジアルすきまがあると玉の回転振動が大きいこと、軸受系の剛性が弱いため回転振動が大きくなること等によります。 この軸方向に加えた荷重を予圧と言います。 予圧は適当に加えれば良いというものではなく、転がり玉軸受の大きさに対して適切な量があります。 予圧量を大きくとると寿命が短くなったり、騒音(レース音)が大きくなったります。 また、回転トルクも大きくなります。 予圧量を小さくすると、振動が増えたり剛性が弱くなったりしてフレッチング等の発生原因となります。 したがって転がり玉軸受を使用する上で予圧の設定は非常に重要な要素となります。

適正予圧
通常、NMBでは面圧を計算して適正予圧を推奨しています。 面圧とは、転がり玉軸受に予圧が加わったとき、玉と軌道溝の接触部に変形が生じて小さな楕円状の接触面積が生じますが、 玉と軌道溝の接触部に発生する垂直な分力(転動体荷重)を楕円面積で割った値を言います。

右図において、玉と軌道溝の接触部に発生する接触楕円の面積は、長軸半径をa、短軸半径bとしたとき、S=πabとなります。 また、接触部に垂直な分力をQとしますと、面圧はQ/Sとなります。 単位は通常MPa{kgf/mm2}で表します。面圧の目安は以下のようになります。 音響寿命としてみた場合には、

1万時間を超える寿命
面圧800MPa{約80kgf/mm2}以下となる予圧量


5千〜1万時間の寿命(一般商品)
面圧1000MPa{約100kgf/mm2}程度となる予圧量


5千時間以下の寿命(剛性重視)
面圧1500MPa{約150kgf/mm2}程度となる予圧量


を一つの目安とします。
動定格荷重からの簡易的な見方として
1万時間を超える寿命 : 0.5/100〜1/100・Cr
5千〜1万時間の寿命 : 1/100〜1.5/100・Cr
5千時間以下の寿命 : 1.5/100〜2/100・Cr
玉と軌道溝の接触部に発生する接触楕円


なお、高炭素クロム鋼の場合、面圧2700MPa{約270kgf/mm2}を超えると、塑性変形が生じ始めると言われています。 ですから一時的な負荷の場合でも、平均面圧2700MPa{約270kgf/mm2}に相当する荷重を加えても軸受にダメージを与えないことにはなりますが、 安全をみて1600MPa{約160kgf/mm2}以下程度の荷重に抑えることを推奨します。 

予圧と剛性
予圧の方法としては、大きく分けると定位置予圧定圧予圧の2つの方法があります。
定位置予圧は、機械的な位置関係をもとに予圧が得られる方法です。
構成部品が単純にできる、比較的剛性が高いという利点があります。 一方温度に対する予圧変化が大きい、摩耗による予圧抜けがある等の欠点があります。
定圧予圧は、コイルバネ、ウェーブワッシャ等バネを使って予圧を軸受に加える構造です。
温度に対する予圧量変化が少ない利点がありますが、一方構成部品が増える、剛性が低いという欠点があります。 また、予圧がけ方向につきましても、一般的に2つの方法があります。
定位置予圧
定位置予圧
定圧予圧
定圧予圧
通常、正面組み合わせ(DF)背面組み合わせ(DB)といい、剛性は背面組み合わせ(DB)の方が正面組み合わせ(DF)よりも高くなります。
正面組み合わせ(DF)
正面組み合わせ(DF)
背面組み合わせ(DB)
背面組み合わせ(DB)


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