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技術解説

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ミニチュア・小径ボールベアリング -18. 潤滑剤

軸受の潤滑には、通常グリースかオイルを使用します。ミネチュア・小径軸受の場合、初期に封入した潤滑剤を入れ替えることなく、機器の寿命まで使用する事がほとんどです。よって潤滑剤の選定には、寿命、トルク、回転性能、音響性能等を十分考慮したうえで選定する必要があります。

グリース

原料基油中に増ちょう剤を分散して半固体又は固体状にしたものです。基油、増ちょう剤、添加剤で構成され、これらの組み合せにより特性が決まります。

  • 基油
    基油を大別すると鉱物油、合成油及びそれらの混合油があります。
  • 増ちょう剤
    増ちょう剤は、基油に分散させて半固体状(グリース状)にするために加えられます。グリースの性質や性能を決定するうえで重要な物質です。増ちょう剤は金属石けんを用いた石けん(リチウム等)系と金属石けんを用いない非石けん(ウレアなど)系に大別されます。
  • 添加剤
    添加剤はグリースの物理、化学的性能の向上を目的に添加されます。添加剤の種類には酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、極圧添加剤などがあります。

オイル

オイルを大別すると鉱物油、合成油及びそれらの混合油があります。流動的で多量に封入することはないので、トルクの低減が可能な半面、寿命の検討が必要になります。グリースの基油としても使われます。

潤滑剤の種類

グリースは、増ちょう剤の種類などにより、表18-1のように大別されます。
代表的なグリースの特徴を以下に示します。

  • リチウム石けんグリース
    リチウムグリースは静音性・耐久性に優れていて、万能グリースとして一般工業・自動車・家電製品にいたるまで、もっとも広範囲に使用されています。比較的に低価格なグリースです。
  • ウレアグリース
    ウレアグリースは耐熱性・高速性・耐水性に優れていて、自動車用電装部品・掃除機用モータ・換気扇に多く使用されています。また、合成油との組み合せで耐ケミカルアタック性(樹脂割れ)に優れたグリースもあります。
  • フッ素グリース
    フッ素グリースは化学的安定性に優れていて、自動車エンジン周辺の高温環境などに使われます。その他に真空環境にも使われます。非常に高価なグリースです。
  • 導電グリース
    導電グリースは導電性を有し、軸受内の通電が可能で、複写機など帯電を嫌う機器に使います。

グリース封入量

小径、ミネチュアサイズの転がり玉軸受のグリース封入量の標準は30%です。使用する用途に適応する為に右表の封入量があります。

封入量記号 封入量 封入量記号 封入量
X 5 ~ 10% 無記号 (標準) 25 ~ 35%
L 10 ~ 15% H 40 ~ 50%
T 15 ~ 20% J 50 ~ 60%

注意

近年、装置の小型化や軽量化に伴い、軸受が組み込まれる周辺に樹脂材料を使用する割合が増えています。樹脂材料によってはある種のオイルやグリースと化学的な相性が悪く、劣化や破損の問題が発生する場合があります。潤滑剤の選定に当たっては使用環境を良く考慮し問題が起きないように配慮する必要があります。詳しくは軸受の取り扱い、2-10 ケミカルアタックをご参照ください。

表18-1 潤滑剤の種類
名称 リチウム
石けん
グリース
ウレア
グリース
フッ素グリース 導電性グリース オイル
増ちょう剤 LI石けん ウレア PTFE カーボン系 -
基油 エステルなど 合成炭化水素 エス
テル
フッ素 フッ素
+エス
 テル
合成炭化水素 フッ素 エス
テル
合成炭化水素
音響 ◎◎ ◎◎ × ×
トルク ◎◎ ○○ ◎◎◎ ◎◎◎
高温 ◎○ ◎◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎◎ ◎◎
低温 ×
高速 × ×
樹脂劣化 × × × ※1 ※1 ※1 ※1 ×
導電
低発塵 × × × ×
価格 ◎◎ ◎◎ × × ×× ×
名称 リチウム
石けん
グリース
ウレア
グリース
フッ素グリース 導電性グリース オイル
コード LY121 LY72 LY551 LY706 LY500 LY586 LY699 LY655 LY727 LY746 LO1 LY650
特性



耐 高
熱 速
性 性






耐 低
熱 ト
性 ル
、 ク
耐 低
熱 価
性 格


導 耐
電 熱
性 性






基油動粘度
mm2/S@40℃
代表値 24 16 48 100 190 85 85 210 148 208 12 32
混和ちょう度 代表値 250 275 235 263 280 280 280 290 235 327
使用温度
範囲℃※2
-50~
+150
-50~
+130
-40~
+200
-40~
+180
-50~
+260
-65~
+260
-50~
+220
-40~
+200
-40~
+125
-50~
+225
-57~
+177
-40~
+130

※1:樹脂劣化についてはご相談ください。

※2:使用温度範囲は、潤滑剤メーカのカタログ値で、軸受の使用可能温度範囲ではありません。
(メーカにより設定方法も異なりますので参考程度としてください)

備考:優劣表示マーク:優←◎◎◎-◎◎-◎○-◎-○○-○-△-×-××→劣

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